陶磁研究「やまぼうし会」は、今から20年ほど前、東京藝大の工芸科陶芸研究室による公開講座の受講生有志が、受講後も陶芸の情報交換や親睦を続けたいと願って集った「陶杜会」が前身です。その後「陶友会」、「日本陶磁芸術学会東京藝大支部」、「やまぼうし会」と、名称と組織が変わり、今日に至ります。これまでに当会の活動に携わってくださった多くの皆様に感謝申し上げるとともに、初めて当会ホームページを訪問してくださった皆様を心より歓迎申し上げます。

 陶杜会発足当時の趣旨と、東京藝大陶芸研究室への支援という役割は、やまぼうし会でもまったく変わりません。東京藝大陶芸研究室との密接な関係による研究会、先生方や学生との交流は当会の大きな魅力となっています。
 僭越ながら、東京藝大支部長から引き続きやまぼうし会々長を務めさせていただいておりますが、初心者から陶芸を始めた私も、陶芸に触れることで、まったく新しい人生を得たような喜びを感じております。この喜びをさらに多くの皆様と分かち合いたいと願っております。

 さて、AI(人工知能)に尋ねれば、大抵のことを教えてくれる時代になりました。しかし、AIは学習しなければ答えを出すことはできません。感性やひらめきによって、無から有を創り出していくことは人間だからこその営みでしょう。さらに、創る喜び、称え合い支え合う喜びも、人間ならではです。作陶は、土と向き合い、まさに人間性を再確認する時間となるはずです。

 その意味で、2017年にやまぼうし会として改組して以降は、社会貢献活動や会員の皆様のコミュニティー・ライフの充実にいっそう力を入れています。一例として、文京区立湯島小学校の特別支援学級の図工「粘土を使った授業」をはじめいくつかの図工(陶芸)の授業のお手伝いさせていただいています。児童と会員の作品が並ぶ本会の会員作品展における展示は、多様性を尊重する時代にふさわしい光景です。世代を超えて陶芸に親しみ、子どもたちに輝きを、私たちに生きがいを与えてくれています。

 ゴーギャンの絵画『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』はあまりに有名です。美術や哲学的な思索は専門家に委ねますが、これらの問いに対して陶芸は一つの答えを示してくれるのではないかと思います。これから歩む人生で、陶芸に取り組むことによって、道に灯が照らされるのではないでしょうか。さらに言えば、渾身を込めて創作した作品・美は、命を超えて永遠の存在になります。

 やまぼうしの花言葉は「友情」です。当会から人の輪が広がり、関係する皆様がいきいきとした人生を満喫されるようこれからも尽力してまいります。お力添えをどうぞよろしくお願いいたします。